voice

voice

生まれ育った七尾で小さい頃からの夢であった自分のお店をオープン

KUKURI:小山 瞳さん

起業のきっかけ

小学生の頃から「自分のお店を持ちたい」という夢を持っていました。ずっと漠然としていて、どんなお店かは具体的に決まっていなかったのですが、「何か作りたい」という気持ちもずっとありました。製菓専門学校を卒業して、パティシエとしてケーキ屋さんに就職し、忙しい毎日を過ごしていました。ふと、このままここで働き続けるよりは、自分のお店を持つという夢を形にした方がいいのではないか、と考えるようになりました。

小山 瞳さん

パティシエとして働いていたので、自分の店を出すなら「ケーキやお菓子のお店かな」とぼんやり考えていました。でも、あるお店の店主さんが淹れたコーヒーを飲んだとき、そのコーヒーの味に心の底から感動。その店主さんにお願いして、コーヒーについてのイロハを教えてもらいました。コーヒーって奥が深く、豆の産地や焙煎の仕方によって味が変わります。コーヒー豆の匂いや味を舌で感じていくうちに、どんどんコーヒーの魅力に引き込まれていきました。これがきっかけで、コーヒーマイスターの資格を取得。その間「美味しいコーヒーとコーヒーに合うお菓子が食べられるお店を出したい」と自分の気持ちが固まっていきました。

肝心のお店を出すならどこにするか。出店を具体的に考えたときに、「生まれ育った七尾でお店を出したい」、と想う気持ちがあり、実家のある七尾に帰ってお店を出せる場所を探すことにしました。

大変だったこと

すぐにでもお店をオープンしたかったのですが、七尾でお店を出す場所がなかなか見つかりませんでした。3年かけても成果がなく、私自身かなり落ち込みました。七尾市内はもちろん、七尾近辺の物件もたくさん見て回ったのですが、自分が納得のいく物件には巡り合えず…。そこで気持ちを切り替えようと、お店を出すのは一旦保留にして、七尾でパティシエとして再就職しました。そんな矢先、現在の場所が見つかったんです。なんと前の職場の先輩が物件をたまたま見つけてくれ、オーナーさんに直接私のことを話してくれました。不動産屋さんの物件情報には出てない物件だったにも関わらず、オーナーさんから承諾が出て、念願のお店を出せることになりました。この展開には自分が一番びっくりでしたね。

KUKURI

さらに大変だったのが、物件が見つかって、KUKURIをオープンするまでの期間がたった2ヶ月しかなかったこと。内装工事をしている間も家賃は発生するので、できるだけ早くお店をオープンさせないといけなかったんです。開店資金は、今まで貯めていた貯金を使いました。短期間でお店を出すとなると、お金なんて貸してくれるところはありません。ちゃんとお金を貯めておいてよかったです。でも、予算は限られていたので、すぐに対応してくれる内装業者さんを探してお願いしたり、タイルやペンキを知り合いのから紹介してもらって調達したり、周りの人にすごく助けてもらいました。自分でできるところは自分でやりましたよ。タイルを剥がしたり、壁にペンキを塗ったり、椅子もテーブルも私の手作りです。パティシエの仕事もすぐには辞めることができず、仕事をこなしながら、コーヒー豆のラインナップを考えたり、コーヒーに合うお菓子の試作を作ったりと、目まぐるしい2ヶ月間でしたが、今となってはいい思い出です。

今後の展開

結婚して、夫もお店を手伝ってくれるようになり、ランチ営業やイベント出店も増えていました。今は出産を控えているので、元気な赤ちゃんを産むことが大前提ですね。(取材時、妊娠8ヶ月)そして、1日でも早くお店に復帰したいです。

KUKURIとしては、他県に出店して多店舗展開していきたいです。今のKUKURIが地元密着型なお店なので、似たような条件が揃う場所がいいかな。七尾は富山も金沢も移動時間がほとんど変わらない立地なので、県外のイベントにも参加しやすいんです。石川県に住んでいると、金沢に出店を目指す人も多いですが、あまり金沢にはこだわっていません。

商品

message/ 女性先輩起業家からのメッセージ

私がお店を持ちたい!起業したい!と思った当時、起業について教えてくれる窓口がなく、手探りで始めていきました。今では県や市町村によっては企業をバックアップしてくれる機関があります。起業したいと思ったら、最初に何をしたらいいのかを早め早めに情報収集することをおすすめします。

開業届を出したときに、税理士さんに言われたのが、帳簿は自分でやること。お金の流れはお店を経営していく上での要です。最初、簿記の知識もない状態で四苦八苦しましたが、お金の流れを把握しているからこそ、先を見据え投資の決断もできるんだなとやってみてわかりました。帳簿は今も自分たちでつけています。資金繰りが上手くいかないと、お店を続けたくても続けられませんからね。安易に考えて起業するのはおすすめしないです。

とにかく起業するのにお金は絶対に必要。補助金制度もあり、自分が使えるのかどうか、もらった補助金をどうやって使うのかを自分で本を読んで勉強するなり、専門家にしっかりと聞くなり、勉強しておいて損はありません。あとは、はじめたら走り続ける「やる気」と、諦めない「根性」ですね。

profile/ プロフィール

KUKURI:小山 瞳さん

七尾市出身。製菓専門学校を卒業後、パティシエとして石川県内のケーキ屋で働く。小さい頃から「自分のお店を持ちたい」という夢をかなえるため、生まれ育った七尾市に戻る。こだわって焙煎した珈琲と手作りのお菓子でまったりくつろげるお店『KUKURI』を2014年にオープン。石川県内のイベントだけでなく県外へのイベント出店も積極的に行う。プライベートでは2018年に結婚し、2020年春に家族が増える予定。

https://www.facebook.com/kukuricoffee/
https://www.instagram.com/coffeekukuri/

※2019年度取材

この記事をシェアする

follow us