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待たせず、手厚く、最良のサービスを。
ニーズにしっかり寄り添う完全予約制

株式会社COCO不動産:中村 幸さん

起業のきっかけ

20歳のときに入社した不動産会社が、その後の私のキャリアの道筋を決定づけてくれました。仕事内容は賃貸物件の紹介から管理までと幅広く、来店客の対応のほかに管理の仕事が山のようにあり、ゴミの分別や家賃滞納の催促、問合せ対応など毎日息つく暇もなく仕事に追われていました。当時、社員の中で一番若い上に、世間知らずで「納得できないことはできない」という性格だったので、何度も先輩たちを質問攻めにしていましたね。でも皆さんは全く嫌がらずに、親身に辛抱強く育ててくださいました。とにかく忙しい会社でしたが、人に恵まれ、家庭と仕事を両立して生き生きと働く先輩女性社員も多く、ここが私の仕事の原点になりました。

職場環境には満足していましたが、私には「20代のうちに結婚、出産、持ち家を実現したい」という思いがありました。それを実行すべく、23歳で結婚し、退職。長女の出産や二世帯住宅新築と、夢を叶えていきました。その後、パート勤務や長男出産を経て、穏やかに過ごすうち、ふと以前の不動産会社での刺激と充実感に満ちた日々が蘇ってきて、またスーツを着てバリバリ働きたい、と思うようになったんです。

29歳のとき、友人の紹介で再び不動産会社で働き始めると、今度は独立への思いが頭をもたげてきました。生来が自由人なので、自分が納得できることをやりたい、ならば独立するしかないと思い立ちました。不動産業界で独立するためには、宅地建物取引士(以降、宅建と略)の資格取得が必要です。その大変さはよく知っていましたが、最初の職場で憧れていた30代の女性先輩も宅建を目指していたことを思い出し、「20代はやりたいことを全部やれた。30代は宅建を取って、あんな素敵な女性になろう!」と決意しました。長期戦は苦手だったので、一発合格を目指し、退職して勉強に専念。資格取得講座に通い始め、家族の協力を得て毎晩9時から猛勉強しました。そのかいあって、目標の一発合格を達成することができました。

独立する前にもう少し経験を積みたくて、合格直後に賃貸物件を手広く取り扱っている会社に入社。その会社に4年半勤め、子どもたち2人が小学生になって手が離れたのを機に、本格的に独立の準備を開始しました。開業にあたっては、サポート機関の宅建協会に相談して、開業セミナーに参加するなどフル活用しました。法人設立から宅地建物取引業免許の取得に至るまでの手続きは非常に複雑なので、ここなくしては乗り越えられなかったと思います。開業のための資金は、自己資金と日本政策金融公庫からの融資で調達。借入するのは初めてでしたが、ISICOで事業計画書の作成をご指導いただき、スムーズに借りることができました。業務に必要な弁護士のご紹介もあり、とても助かりましたね。

事務所

2018年、アパートの1室を事務所として開業、現在は事務所を移転する計画も進行中。

仕事のやりがい

2018年1月、アパートの1室を事務所として、完全予約制の不動産会社をスタートしました。完全予約制にしたのは、お客様のご要望に合わせて事前に物件を準備できるからです。お客様をお待たせすることなく、手厚くベストのサービスがご提供できるこの形は、独立する上での絶対条件だったんです。

中村 幸さんPC写真

パソコンとスマホを連動させて、お客様とのやりとりをよりスムーズに。

現在、社員はおらず私一人で、アパート、貸家、駐車場、倉庫などの管理と、売買・賃貸の仲介を行っています。お客様はご紹介をはじめ、ネットの物件情報を見て連絡して来られる方々です。かつては物件探しというと、情報誌を手にご来店され、そこから物件を探してと、ご案内に至るまでに、すごく時間も手間もかかっていました。今はネットで事前に詳細な情報が入手でき、ご来店日にスケジュールを組んで、一気にお見せすることも可能になりました。メールやLINEで連絡が取りやすく、一人でも効率的に業務が回せます。ネットの進歩によって、こうした非来店スタイルの不動産会社はますます増えると思うので、それだけでは補えない人脈力をつけていくことも大事でしょうね。

日頃お世話になっている賃貸物件のオーナー様は、企業のトップが多く、豊かな人生経験をお持ちの方々ばかりです。お会いするたびに様々な考え方にふれ、大変勉強になりますね。お金の回し方、仕事に対する考え方など次元の違いを感じます。一人でやっていると自分の考えに固執してしまいがちですが、「そういうやり方もあるんだ」「まだまだ私は努力が足りない」と目が開く思いがします。そうした方々に会え、刺激を受けられるのもこの仕事の醍醐味だと思います。

今後の展望

30代の目標は雑誌「CLASSY」に登場するファッショナブルでかっこいい女性でした。これから40代で目指すのは雑誌「STORY」を彩る女性たち。例えば、年齢を重ねても、おしゃれで生き生きしていて、内面の充実が外にもあふれ出ているような女性。若い頃は「40代なんておばさん」と思い込んでいて、自分がその年代になるなんて想像もできませんでしたが、今は40代の自分の可能性にものすごく期待しています。素敵な40代を作るのは、これからの行動次第なので、頑張って自分を磨いていきたいです。

中村さん事務所にて

憧れの「CLASSY」に掲載されました!(ホームページでも紹介しています。)

不動産という仕事を選んだのは、たまたま最初の会社でいい方々に巡り合えたというご縁があったから。美容や飲食など、もっと面白く興味のある分野が見つかれば、そちらも取り入れていくかもしれません。もし今後、そのときの自分に響くものがあったら、どんどんやっていきたいですね。

message/ 女性先輩起業家からのメッセージ

チャレンジしたいことがあるなら、1日でも早く行動に移したほうがいいです。調べて得た回答と、行動してみて得たこととは、質も量も全然違います。実際にやってみないとわからないことのほうがすごく多いですから。私も開業してからの1年間は、勤めていたときの数年分の経験をした感じがします。なにしろ何もないところから築いていくので、毎日調べて、出向く、確認するの連続でした。準備万端のつもりで始めてみても、「え、そんなこと知らなかった」ということが山ほどあるんです。経営者がやらなければならないことはそれほど多い。会社員の経験だけではわからなくて当り前です。独立して改めて、「会社ってすごい」と気づきました。でも、知らなかったことを新しく身につけていくことがまた楽しい。「あ、こんなことできるようになった」と自分の進歩が実感できます。
また、起業すると注意したいのが、ついつい働き過ぎて過労気味になってしまうこと。すべてが自分裁量になるので、私も1年目はがむしゃらに働いて全然休みを取らず、気が付けば疲れが蓄積してしまっていました。心配した先輩の起業家の方に、「休むことも大事」と教えられました。やり過ぎでバーンアウトしないように、心掛けて心と体を休ませることも忘れないようにしてほしいです。

profile/ プロフィール

株式会社COCO不動産:中村 幸さん

白山市出身。高校卒業後、不動産会社勤務を経て、23歳で結婚。長女を出産後、生活雑貨の卸会社でのパート勤務を経験し、長男を出産。翌年から不動産会社に勤務。31歳で宅地建物取引士の資格を取得し、賃貸物件を主とする不動産会社へ転職。2018年に独立し、「株式会社 COCO不動産」を設立。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士。

株式会社 COCO不動産
http://www.coco-re.jp/

※2020年度取材

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